臨床研究・治験ってなに?

臨床研究・治験について

私たちは病気になると、くすりを飲んだり塗ったりします。くすりによる病気の治療や予防は、20世紀後半からめざましい進歩をとげました。しかし、全ての病気が制圧できたわけではありません。健康や生命を脅かすさまざまな病気に対して、今も新しい、より良いくすりを待ち望んでいる患者さんは数多くいます。より効果的で安全な治療を患者さんにお届けするためには、これからも医療の進歩・発展が大切です。そのためには多くの研究が必要ですが、その中で健康な人や患者さんを対象に実施するものがあり、これを「臨床研究」と言います。

臨床研究(臨床試験、治験)

臨床研究の中で、新しい治療や予防などを試みて、医薬品の有効性(効き目)や副作用(安全性)について調べることを「臨床試験」と言い、特に医薬品や医療機器について、厚生労働省から承認を受けるために行われる臨床試験のことを「治験」と言います。

くすりができるまでの流れ

「くすりの候補」から新しいくすりが完成して、患者さんの手に届くまでには10年以上の期間が必要です。

基礎研究(2~3年)

「くすりの候補」となりそうな物質を探します。

非臨床試験(3~5年)

動物で試験を行い「くすりの候補」にどんな作用があるのか有効性(効き目)や副作用(安全性)を調べます。

治験(3~7年)

「くすりの候補」が人に対して使われます。
「治験」は3つの段階(第Ⅰ相、第Ⅱ相、第Ⅲ相)に分けられています。
第Ⅰ相
少数の健康な人にご協力いただいて、安全性や「くすりの候補」の作用を調べます。

第Ⅱ相
少数の患者さんにご協力いただいて、「くすりの候補」の有効性(効き目)や副作用(安全性)とともに、効果的な使い方(服用期間、用量など)を調べます。

第Ⅲ相
多くの患者さんにご協力いただいて、「くすりの候補」の有効性(効き目)や副作用(安全性)を最終的に確認して、効果の範囲や標準的な使い方を確定します。

国(厚生労働省)の許可 

これまでの非臨床試験や治験の結果はまとめて国(厚生労働省)に提出され、「くすり」として役立つかどうか審査されます。

「新しいくすり」の誕生

厚生労働省から製造販売の承認を受けて、ようやく「くすり」として使用することができます。

臨床研究センターについて

治験を円滑に進めるために、病院長の下、医師、臨床研究コーディネーター、薬剤師、看護師、検査技師、事務官などから構成されたスタッフにより運営されています。臨床研究センターでは、治験に参加していただいている患者さんと医師との架け橋になり、正確で科学性の高い評価が得られる治験が実施され、患者さんがいつも安心して治験に参加いただけるようサポートしています。また、治験に対する理解を深めていただいてよりよい治験がスムーズに行われるように取り組んでいます。

臨床研究コーディネーターについて

臨床研究コーディネーターとは、治験に参加する患者さんの人権や安全性を守り、科学性、信頼性の高い治験が円滑に行われるように管理・調整する専門スタッフのことです。患者さんにいつも安心して治験に参加していただけるよう、病院内での調整役を担っています。患者さんの皆さんは、治験に関して分からないことや悩んでいることなどを、何でもお気軽にご相談いただくことができます。

臨床研究・治験の安全性について

治験を行うためには、第一に患者さんの同意を得ることから始まります。患者さんの人権、安全及び福祉に対する配慮が最も重要で他のいかなる利益より優先されます。国により倫理的な規制や安全性に関する実施基準が設けられているのもこのためです。病院内では患者さんの人権や安全を守り、治験が科学的に適正に実施されるように第三者機関として治験審査委員会が設置され、それにより審査し承認された治験のみが実施されます。治験が実施されると、患者さんの心のケアを配慮して医師以外に臨床研究コーディネーターが相談窓口を務めます。また、常に患者さんの安全性を確保するため、治験実施の責任医師が異常を認めた場合にはその治験は中止される場合もあります。

治験に参加することについて

治験に参加することは、より良い薬を作り出す過程の一翼を担い、医療の向上に寄与し社会に貢献するボランティア活動の一つであると考えられています。治験を通して、薬への理解が深まり、担当医師との信頼関係が築かれることが広まればさらに良い薬の開発につながります。なお、治験に参加いただくと治験に関わる部分のみ、来院毎に病院から負担軽減費が支払われる場合があります(医師主導治験には負担軽減費がない場合があります)。

議事録及び情報公開について

「臨床研究・治験の安全性について」に記載がありますように『治験審査委員会』では治験に関する審議が行われ、臨床研究については『臨床研究倫理委員会』や『臨床研究審査委員会』で審議が行われています。各委員会では、実施する計画書が、参加される患者さんの権利や安全を守られる内容かどうかを倫理的・科学的観点から審査しており、その内容について公開しています。

議事録の公開

  • 治験審査委員会の議事録は、こちらのページへ。
  • 臨床研究倫理委員会の議事録は、こちらのページへ。
  • 臨床研究審査委員会の議事録はこちらのページへ。

情報公開

  • 本学で実施されている研究の情報公開については、こちらのページへ。